脅威!!樹種を超えて渡り歩く病原菌!

樹病・害虫

人間が病気にかかるのと同様、植物も病気にかかることがあります。例えば葉っぱが変色したり、幹が腐ったり、根が腐ったりします。人間の風邪が犬や猫に移らないのと一緒で、植物も種や属を超えて病気はほとんど移りません。しかし、人間でいう鳥インフルエンザのように、種を超えて病気が拡大するものがあります。今回は、樹種を超えて病気が広がる菌について紹介します。

 

単犯性と多犯性

まず基礎知識として、病気にかかる生物を宿主と呼び、感染できる生物種の範囲を宿主範囲と言います。

病原体の性質として、ある一定の種、または属の範囲しか感染できない性質を単犯性といい、種や属を超えて科、またはそれ以上の範囲で病原となる、宿主範囲の広い病原の性質を多犯性といいます。つまり人間しかかからない風邪は単犯性で、鳥インフルエンザは多犯性です。

植物の病原にも単犯性と多犯性がいます。多犯性の恐ろしいところは、1種類の生物の病気に対して対策しても、他の種からまた病気が移ってきてしまうことです。例えば鳥インフルエンザで言うと、人間同士が病気を移さないようにしていても、感染した鳥からは移ってしまいます。

このような病気の広がりを見せる植物の病気があるので、以下で解説していきます。

梨園の被害

ナシには赤星病という病気があり、これは葉や果実に感染して、とても気持ち悪い菌の塊ができます。赤星病はさび病というカビの仲間の病気です。この病気は、梨農家にとっては致命的であり、必ず防除しなくてはなりません。しかし、ナシにいくら対抗策をとっても著しい効果が出ませんでした。

この菌の研究を進めていくと、なんとこの赤星病菌はカイヅカイブキという庭木や生垣によく使われる樹種にも感染していることが分かりました。しかも、この赤星病菌は春から夏にかけてはナシに感染し、秋から冬にかけてはカイヅカイブキで越冬していることが分かりました。このことが分かってから、梨園の周辺でカイヅカイブキを植えることは禁止されています。

また、この赤星病菌は他の樹種でも病気を発生させます。例えばボケ、カリン、リンゴ、カイドウ、ナナカマドなどです。これらの植物を育てている方は、周囲にカイヅカイブキがないか注意して育ててください。

 

今回は樹種を超えて感染する菌類について紹介しました。ちょっと難しい語句が出てきましたが、他の記事と合わせて読んでいただき、より樹木の病気について知っていただければと思います。また、今回紹介した病気以外でもいろいろな病気にかかった植物が至る所にあるので、毛虫等には気を付けながら探してみてください。

ではまた。

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