私が樹木医を目指した経緯と葛藤

雑記

私は樹木医という資格を持っていますが、
なぜ樹木医になろうと思ったのかよく質問されます。

樹木医という資格がまず知名度が低く、
知っていても目指そうとする人はさらに限られます。
樹木医を知らない方にとって、
樹木医という存在は謎そのものです。

ということで今回は私が樹木医を目指した
きっかけと経緯をお話ししたいと思います。

また、樹木医になるまで、
そして樹木医になった後の葛藤も書きました。

ぜひ最後までお付き合いいただければ幸いです。

 

樹木医を知ったきっかけ

私は幼少期から外で遊ぶのが好きで、
昆虫採集をしたり、秘密基地を作ったりと
毎日外で遊んでいました。

中学生になると
習っていた水泳を本格的にやるようになり、
植物や昆虫と触れることはなくなりました。

高校に入り、進路を考えるタイミングになると、
皆マーチ以上に入りたい、国立に入りたいなど
目的が入学になっていることに違和感を覚え、
真剣に自分の将来を考えました。

「自分は何の仕事がしたいのか?」

そう考えた私は図書館に行き、
仕事図鑑の様な書物をあさりました。

その中の一冊に「自然で働く職種」的な項目があり、
「これだ!!」と興奮したのを今でも強く覚えています。

その中にあったのが「樹木医」という仕事でした。

病気になった樹木を救う。
その仕事がとても輝いて見えました。

 

樹木医資格取得までの経緯

目標が決まってからは、
樹木医のための勉強ができる大学を探し、
その大学に入るために勉強しました。

入った大学は日本大学生物資源科学部という、
生物学を扱っている学部です。

その中の森林資源科学科という学科は
樹木医補助という
樹木医試験を早く受けられる資格が取れました。

樹木医の試験資格は実務経験が7年、
または樹木医補の有資格者は実務経験1年で受けられます。

当然いち早く樹木医になりたかったので
樹木医補を取るために
森林資源科学部に入りました。

 

大学に入ってからは水泳のコーチをやりながら
樹木医の勉強をしました。

2年生から森林微生物学研究室に入り、
先輩の研究を手伝ったりして研鑽を積み、
自分はスギの苗の立枯病について研究しました。

ただ、研究ではスギ苗に
病原菌を感染させる必要があったため、
自分の倫理観と闘いながら
研究していた覚えがあります。

 

研究を通して樹木の治療や育成に興味を持った私は、
大学卒業後、植木の生産をしている会社に入社します。

植木の生産ならは自分の学びたいことを学びながら、
実務的な経験を詰めると思っていたからです。

そして念願の樹木医を取得することが出来ました。

 

樹木医という資格と仕事との葛藤

植物愛を社会実装するために取った
樹木医という資格ですが、
今までいろいろな葛藤がありました。

卒業後、最初に入社した造園会社では
樹木に対する姿勢について
いろいろな疑問がありました。

造園業界の樹木に対する考え方は、
会社や職人によってピンキリです。

とくに植木の生産は
樹木を命ある生物ではなく商品として扱うので
ぺーぺーの私にとっては
最初はとても葛藤がありました。

ただ、ここで得られた知識や
命に対する倫理的な考え方は
今も自分の基盤となっています。

 

そして樹木医試験に無事合格した私は、
樹木を直接社会実装する仕事がしたいと思い、
外構設計の会社に転職します。

しかし、そこでも新たな葛藤がありました。
それは、樹木が全く必要とされていない実態です。

私が就職した会社はハウスメーカーで
新築の家の庭を設計する仕事でした。

新築の家を建てるというのは、
予算という現実問題があります。

会社の中では、この施主様の予算を
インテリア、エクステリア等の部署間で
取り合っています。
ライバルは社内にいるのです。

この中で一番削られてしまうのが外構、
つまり家の外の部分です。

外構は家を建てた後でも追加できますが
家の中は変えられないと
営業が言ってしまうのです。

そうなると家の外の設計は
駐車場、表札、ポスト、インターホン位しか
考えることがない現場が多くなります。

ましてや植物などは
正しい知識を持った住宅営業は少なく、
クレーム対象になりやすいので
どんどん削ってきます。

会社としては完成された住宅の販売を
目指していたのですが、
実際は全く違う現場となっていました。

 

こんな状況に疑問を持っていた、
また、家族の健康状態にも問題が起こったため、
昨年独立する決断をしました。

独立してからは講演依頼や庭の設計依頼など、
自分が良いと思えるものを存分におススメできるので
とても充実しています。

今後も樹木医として
「植物と共生する生活の社会実装」を
全力でやっていきたいと思います。

ちなみに「共生」の意味は
一緒に生きるというだけでなく
「互いに利益をもたらしている生活」のことです。

人間だけが利益を得るのではなく
お互いに利益になる生活がベストだと思っています。

 

 

ということで私の樹木医を目指した経緯でした。

研究の葛藤、商品との葛藤、建設業の実態との葛藤と、
いろいろな壁がありましたが
今では良い経験ですね。

誰か見てくださった方が
少しでも参考にできることがあれば幸いです。

 

まだ理想の自分とはかけ離れていますが
ちょっとずつ近づいているかな、という感じです。

これからも植物と人間の幸福のために
精進していきます。

応援いただければ嬉しいです。

 

ではまた。

コメント

  1. 後藤一八 より:

    はじめまして。
    突然のコメントですみません。
    私は現在、公務員関係の仕事に就き、4年目を迎えようとしているものです。
    公務員は、社会一般的に安定職といわれ、社会的地位もあるのでしょうが、私の場合はやりがいが見出せないまま生活しています。以前、NHKのとある番組で、足利フラワーパークの前園長である塚本さんの仕事を拝見し、樹木医という仕事を知りました。私はカメラが趣味であることから都内の庭園や植物園、公園を回り、様々な樹木や植物を見て、どのように整備しているのかとても気になっている中でしたので、こんなに魅力的な仕事があるのか、と思っていたところでした。
    そんな中、この度、カントーさんのYouTubeを拝見し、ブログを読ませて頂きました。
    樹木医になった経緯、大変さ等、知る機会がほとんどない職種といったこともあり、とても参考になりました。
    長くなりすみません。ここからが、本題なのですが、私は迷っていることがあります。
    社会人になった今、樹木医補になるため、大学に行き、樹木医を目指す行動をしてもいいのかという点です。色々なしがらみがあり、自分自身行動できずにいます。
    どうか、樹木医として働いている先輩としてどうお考えになるか、ご教授頂けたら幸いです。
    稚拙な文章かつ、長文失礼しました。

    • カントーカントー より:

      コメントありがとうございます。
      僭越ながら、2つの視点から私の所見をお話しします。

      まず、樹木医の仕事という点についてお話します。

      公務員という立場にありながら
      新しいことにチャレンジする姿勢はすごいことだと思います。
      私だったら惰性で仕事をし続けてしまうと思うので、本当に尊敬します。

      実際、樹木医がという仕事が儲かるかと言ったら、それは人によります。
      業界全体の仕事量も多くはないので、楽な仕事ではないと思います。

      私は樹木診断も簡易的な診断がAIによって自動化されると思っています。
      また、その簡易診断の結果で保存、伐採が決められる時代が来ると思います。
      理由は人間が診断、治療するより機械で診断し、伐採、新植した方が安いからです。
      本当に大切な天然記念木されているような樹木は
      大学の先生レベルや、相当実績を積んだ先輩方が見ていくでしょう。

      以上のことから、これから樹木医という選択は
      いばらの道だとは思います。

      しかし、樹木医の仕事のやりがいは何物にも代えられません。
      また、私は時代を見越してブログやYouTubeを始め、講演依頼などを受けています。
      樹木医だけに限られた話ではないですが、
      資格や仕事にとらわれず、形をどんどん変えていく柔軟さが
      今後を生き抜くポイントだと思っています。

      今の私の仕事の軸は、樹木医の知識を分かりやすく一般ユーザーに落とし込み、
      間接的に多くの樹木を救えればと思っております。

      2つ目に幸福度という点についてお話します。

      私は上記したことを踏まえながらも樹木医を続けています。
      それは樹木と関わることが好きだし、
      こうやって樹木好きの方と繋がることができるからです。
      私の幸福度はここに詰まっており、他の選択肢はないと思っています。
      (今後は分かりませんが)

      樹木医の仕事も将来的には新しい形になっていくので、
      そこの変化に対応できる柔軟な考えと、
      樹木が好きだという強い思いがあれば樹木医を目指すべきだと思います。
      私が樹木医になることを保証できるわけではないですし、
      ましてや生活を支えてあげられるわけではないですが、
      ご自分の人生の幸福度を鑑みたときに取るべき選択をした方が良いと考えます。

      不景気とはいいながらもバイトすれば生けていける時代なので、
      私は夢を追って戦う方が人生が豊かになると思います。

      樹木医のなり方等でご質問があればまたお気軽にコメント下さい。

      長文になってしまいましたが、少しでも参考になる部分があれば幸いです。