建設業の理不尽

庭、ガーデニング

先日ノートルダム大聖堂が火事になりました。

ノートルダム大聖堂は、竣工から600年以上経つ、
ヨーロッパの中でも歴史的価値の高い建築物の一つです。

この事件が起きた翌日に、フランスのマクロン大統領から
「5年以内の再建を目指す。」という旨の発言がありました。

はっきり言って最悪です。

今回は何故この発言が最悪なのか、
建設業にはびこる闇と悪循環の一部を紹介します。

建物を作っているのは
あくまでも人であるということが伝われば幸いです。

 

仕事の受注の流れと工期

上記で、マクロン大統領の話を例として触れました。

建設業の一端を担うものとしては、
この発言には苦言を呈さざるを得ません。

この事件の翌日に、5年という工期の設定が出てきましたが、
おそらく何の根拠もないでしょう。

火事の現場検証も終わっていないこのタイミングで
なぜ工期の数字が出てきたのか疑問でなりません。

破損した部分の確認や、使用材料の検討など
計画を立てるための材料など一つも揃っていません。

しかし、何故か分からないけど
工期の目安が決まっているのです。

 

誰が聞いてもおかしいこの発言ですが、
この現象は、建設業にとって珍しくはありません。

 

今日の建設業はサービス業になっています。

建物を建てたいお客様のために、
要望に沿ったものを提供することが建設業です。

バブル崩壊以降、仕事量の低下と共に
建設業者の立場はどんどん弱くなりました。

そして、とにかく仕事数を取りにいく会社が
増えていきました。

結果として、この受注方法でしか
仕事がもらえなかったのです。

この流れの中で利益が少なかったり、
工期が短かったとしても、
無理をして仕事を取ってくるのが
営業の仕事になりました。

 

そして、この仕事の取り方は、
今でも続いているのです。

 

無理な仕事は命を奪う

この無理な仕事によるしわ寄せが来るのは
現場の人間です。

現場の監督は工期内で完成させるために、
無理な計画を立て、追っていかなくてはなりません。

また、現場の職人はその無理な計画に沿って
仕事を進めていかなくてはなりません。

 

そうなると、どういったことが起きるでしょうか?

 

まず現場の職人から不満が溜まります。
無理な計画の性で長時間労働を強いられることになります。

また、監督も現場管理と書類、
そして工期というプレッシャーの中で
働き続けることになります。

そして現場は不安や不満があふれ、
笑顔が消えた職場になります。

この状態で働き続けることは、
体力的にも精神的にも、とても危険なことです。

 

例えば2017年4月、2020東京オリンピックで使用する
新国立競技場の建設途中、
現場監督をしていた23歳の方が自殺してしまいました。

この問題も、工期が原因の一つだったと言われています。

新国立競技場はデザイン案がなかなか確定せず、
着工予定から実際に着工するまで
1年というズレが生じました。

このズレを埋めるためのデザイン計画を採用したはずでしたが、
計画案にそもそも無理があったため、
現場への圧力は相当なものだったと想像できます。

結果、最悪の事態になってしまいました。

 

このような悪循環が建設業の中では蔓延しています。

この現象を止めるには、
きちんと専門家やプロの意見を求めることが必要です。

大きな計画については、
第三者のプロの意見も伺う制度を作るべきです。

また、無理な計画を立ててまで
仕事を受注しようとする会社には、
きちんと罰する制度も必要だと思います。

働いているのはあくまでも人間です。

無理な仕事によって、幸せよりも
不幸を生み出すことになりかねません。

 

 

人間を人間扱いしない社会に歯止めをかけたい。

そんな思いで今回は記事を書きました。

人の生活する空間を、人の生活を侵害して作る矛盾を
どうにか無くしていければと思います。

無理な発注、無理な受注は
人の命を奪うことがある。

そういった意味で、
冒頭紹介したのマクロン大統領の発言は
人を殺すことにつながりかねません。

日本と比べて、海外の方は
無理な仕事をきちんと断れる方が多いですが、
理不尽な仕事を任せたい発注側がいることに変わりはありません。

建設業の実態、そしてその現場に人間がいることを
一人でも多くの方が理解していただければ幸いです。

 

ではまた。

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