樹木が倒れる原因とは?木材腐朽菌の恐怖

樹病・害虫

近年、台風が来るたびに
樹木が倒れているニュースが流れています。

もしその場に自分がいたら、
自分の家族がいたらと思うとゾッとします。

では、倒れそうな樹木は
見た目で判断できるのでしょうか?

ということで、今回は
樹木が倒れやすくなる条件に付いて紹介します。

 

倒れやすい樹木の条件

樹木が倒れる条件はいろいろありますが、
ニュースになるような事故は、
ほとんどが樹齢と腐朽菌、また生育環境の性で起こります。

腐朽菌とは、樹木を腐らせてしまう菌のことです。

では、この樹木が倒れてしまう原因について、
一つずつ解説します。

 

樹齢と倒木の関係

樹木は年齢を重ねるにつれ、
太くなっていきます。

樹木の太くなる成長を肥大成長といいます。

樹木の幹を輪切りにしたとき、
外側から樹皮、色が薄い白っぽい木材、
そして中心は色の濃い赤っぽい木材になっています。

ちなみに色の薄い外側の木材を辺材といい、
色の濃い芯側の木材を心材といいます。

 

実は、この辺材と心材は
死んだ細胞の集まりです。

辺材は、水を通している道管組織と放射細胞以外は
全て死んだ細胞です。

心材については、全てが死んだ細胞で形成されています。

つまり、樹木の中身の部分は、
細胞による抵抗反応が起こらないのです。

そのため、菌に対する抵抗物質として、
タンニンなどの物質を死んだ細胞内に蓄積させます。

これが、心材の色が濃い理由です。

しかし、蓄積された抵抗物質にも限度があるので、
一度菌の侵入を許したら、徐々に浸食されてしまいます。

樹齢が高くなると、その分死んだ細胞組織が多くなり、
被害体積の割合も大きくなります。

また樹齢を重ねれば表面積も多くなるため、
侵入経路も増えることになります。

そのため、大きい樹木になればなるほど
倒木事故が多くなるのです。

 

腐朽菌と倒木の関係

腐朽菌とは樹目を腐らせてしまう菌のことです。

有名なところだと、シイタケやマイタケは
腐朽菌の仲間です。

この菌が樹木に入ってしまうと幹が腐ってしまい、
風などの影響で樹木が倒れやすくなってしまいます。

 

では、腐朽菌はどのようにして
樹木に感染するのでしょうか?

腐朽菌の感染経路は、
主に以下の項目です。

 

  1. 枝の折れた痕から感染する。
  2. 剪定した痕から感染する。
  3. 虫の食害痕から感染する。
  4. 腐った根から感染する。
  5. 樹皮の損傷部から感染する。

 

これらの感染経路は、
いずれも樹体の損傷が引き金となっています。

このような傷があると、
樹木の幹は腐朽菌にたちまち侵されてしまい、
幹の内部がスポンジ状になってしまいます。

また、最終的には空洞化することもあります。

このような幹の状態になると、
樹木は体を支える力がなくなってしまい、
倒木してしまいます。

 

生育環境と倒木の関係

樹木の倒木の原因は生育環境によっても
リスクが変わってきます。

まず、上記で紹介した腐朽菌は、
湿度や日光の具合で感染リスクが大きく変わります。

腐朽菌のほとんどは、
湿度があり、薄暗いところを好むので、
このような条件を満たすと感染しやすくなります。

 

また、街路樹では狭い場所に植えられているのを
よく見かけます。

皆さんも歩道が根っこで盛り上がっていたり、
縁石の上に根っこが乗り出してきているのを
見たことがあると思います。

樹木は根を張ることで体を支えているので、
このような狭い環境では体を支持できなくなってしまいます。

さらに、根詰まりは根っこが弱りやすくなり、
腐朽菌の感染リスクも高くなります。

根が腐ると、樹木は体を支えられなくなって
根っこごと倒れてしまいます。

 

また、樹木の剪定方法で感染することもあります。

感染を誘発する剪定は以下の項目です。

 

  • 太い枝を切ること
  • 幹を傷つける剪定をすること
  • 枝葉を切り過ぎること

 

特に上二つの樹体に直接ダメージを与えることは
感染リスクを増大させます。

剪定後は市販の塗付剤を塗ってあげてください。

特に、剪定痕に心材が見えている場合は
必ず塗付してあげてください。

また、枝葉を切り過ぎると
光合成量が少なくなり、樹勢が弱まって
抵抗力が落ちてしまいます。

街路樹などで枝葉がスカスカの剪定がしてあるのは、
単純に剪定管理の回数を減らすためです。

正しい剪定方法ではないので、
くれぐれもマネしないでください。

 

最後に、最近では海外の樹木を
日本で植えることがあります。

例えばアカシアの仲間はオーストラリア原産です。

アカシアの根っこを見てみると、
地面の浅いところで根を伸ばします。

これだと日本の台風には耐えられず、
根っこごと倒木してしまうことがあるのです。

 

倒木する樹木の判断

倒木する危険がある樹木の判断は
とても難しいです。

街路樹や公園木は、
本来であれば管理者が樹木医に相談して、
きちんと管理することが必要です。

しかし、そういった厳格な管理がされた樹木は
ほとんど見かけません。

倒木の危険信号として、
一番危険なのは、幹の腐朽を表すキノコの有無です。

サルノコシカケの仲間が太い幹に付いていたら、
それは腐朽がかなり進んだ状態です。

管理している自治体や管理業者に、
直ちに報告してください。

樹木の倒木は命を奪う危険性があります。

見つけ次第、迷わずお願いします。

 

ちなみに樹木医は、樹木の診断では主に
樹勢、腐朽度、根腐れを見ています。

枝葉の状態と幹の腐朽の有無、
そして根を場合によっては掘り起こして観察し、
危険度を推定します。

この判断は素人には難しいので、
不安に感じたらプロにご相談ください。

 

 

ということで、樹木の腐朽のお話でした。

ちなみに昨年の台風24号では、
東京だけで800本以上の倒木が確認されました。

対岸の火事だと思わないことが
周りの方の命を守ることに繋がります。

 

ではまた。

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