BBQで増える樹木の病気、つちくらげ病とは!?

樹病・害虫

樹木の病気には色々な特徴があります。

葉に斑点が出来たり、カビが生えたり、
幹が黒くなったり、キノコが生えてきたり…

これらの菌類が引き起こす病気は、
基本的には熱に弱く、また寒いと活動をしなくなります。

しかし、この法則に反して活動する
特殊な病原菌もいます。

 

ということで、今回はBBQによって森を枯らした
つちくらげ病について紹介します。

楽しくやっていたBBQの後、火災を起こしたわけでもないのに
森林がみるみる枯れていくという怖ろしい事例です。

この病気は繁殖力も強く、
森林の消失に繋がりかねない重大な病気です。

この記事を読んで、生物多様性を知ると共に、
樹木の病気の重大さが少しでも伝われば幸いです。

 

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つちくらげ病とは?

つちくらげ病の解説の前に、
キノコが引き起こす病気について解説したいと思います

 

キノコとは、菌類の仲間で、
大きく分けて腐朽菌と共生菌がいます。

共生菌とは、樹木と共生している菌類を指します。

例えばマツタケは共生菌の仲間で、
アカマツの根に絡みつき、樹体の栄養を分けてもらっています。

逆にマツタケからは樹木が成長するのに必要な
窒素を空気から固定して、アカマツに供給しています。

このように、樹木とキノコが仲良く生活している例もあります。

 

逆に腐朽菌は、その名の通り樹木を腐らせてしまう菌です。

有名なところだとシイタケやマイタケ、エノキダケなどは
樹木を腐食する腐朽菌の仲間です。

これらの菌は、樹木にとって害でしかなく、
樹木が感染していた場合は病気とみなされます。

 

今回紹介するつちくらげ病は、
この腐朽菌の仲間になります。

では、まずはこの腐朽菌の仲間が
どうやって樹木に感染するかを紹介します。

 

樹木が腐朽菌に感染する理由

樹木が腐朽菌に侵されるには、
いろいろと条件が必要です。

主な感染条件は、以下のような樹木の状態です。

 

  1. 樹木に剪定痕などの傷がある
  2. 樹皮が虫害により穿孔されている
  3. 樹勢が弱っている
  4. 根が弱っている

 

これらの条件に当てはまると、
樹木の病原菌の感染リスクが急上昇します。

では、これらの条件に付いて
一つずつ解説していきます。

 

1.樹木の傷

基本的に、樹木は体を樹皮で守っています。

人間にとっての皮膚みたいなものです。

樹皮の下にある、私たちが木材として使っている部分は、
実はほとんどが死んだ細胞から構成されています。

細胞が死んでいるということは、
菌が侵入しても抵抗が出来ないということです。

つまり、樹木は樹皮がなくなると
病気が感染し放題になります。

また、樹木は元気がなくなると、
枝先から段々枯れていきます。

枯れた部分ももちろん菌に対する抵抗性は
ほぼないので、感染する可能性が高くなります。

樹木の枯れ枝には小さなキノコがよく付いているので、
機会があれば探してみてください。

2. 虫の穿孔痕

害虫の穿孔も病気の原因になります。

感染してしまう理由は、上記の通りです。

しかし、痕虫害の怖ろしい点は、
病気を媒介することがあるところです。

有名な病気はマツ枯れ病です。

マツ枯れ病はマツノマダラカミキリの食害によって起こります。

しかし、病気の原因はこのカミキリの食害ではなく、
マツノマダラカミキリに住み着いていた線虫です。

このマツノザイセンチュウはカミキリの食害と一緒にマツに感染し、
マツの材の中に入ります。

そうすると、線虫が樹木の栄養のやり取りを邪魔するようになり、
段々弱って、最終的には枯死に至ります。

また、最近大きな被害が出てきているナラ枯れ病も
昆虫が病原を媒介している病気です。

 

このナラ枯れはカシノナガキクイムシという昆虫が
コナラやクヌギの食害をすることで発生します。

このカシノナガキクイムシは、
ナラ枯れ菌という菌と共生しています。

このキクイムシが産卵のために樹木を穿孔すると、
キクイムシの背中から菌が樹木に感染します。

また、感染して柔らかくなった木材を、
今度はキクイムシのこどもが食べるのです。

こうして、カシノナガキクイムシとナラ枯れ菌は
日本中のナラ類の樹木を食い荒らしています。

 

3.樹勢と病気の関係

樹勢とは書いて字のごとく、樹木の勢いのことです。

良く枝を伸ばし、葉を多くつける樹木を
樹勢が良いと表現します。

逆に葉が少なかったり、枝数が少ない状態を
樹勢が悪いと表現します。

この樹勢は、主に根からの栄養状態や
樹齢に深くかかわっています。

根っこの病気については、
詳しい解説は後述します。

 

樹木は人間と違い、とても長い寿命を持っています。

しかし、先述した通り樹木は人間と違って
ほとんどが死んだ細胞で構成されています。

つまり、高齢化による病気の感染率は
人間と比べ物にならないぐらい高いです。

100歳以上の樹木の病気の感染率は
ほぼ100%と言っていいでしょう。

天然記念物に指定されるような樹木は、
ほとんどが何らかの形で病気を抱えています。

 

4.根からの感染

病気の感染の中でも、
重病化しやすいのが根っこの感染です。

根っこは土に覆われている分、
湿度が高く感染しやすい部分です。

また、病気にかかると水分や栄養分が吸えなくなるので、
樹勢が一気に衰えます。

この根っこが弱ったり傷がついて感染してしまうと、
樹体が支えられなくなり、倒木してしまいます。

街路樹や公園木が倒木したら大事故に繋がるので、
一番注意しなくてはなりません。

 

 

これらの様な厳しい環境と体組成を抱えながら、
樹木は病気と闘っているのです。

 

病気の重症化する条件

樹木の菌類による病気は、
菌類の苦手な環境で抑えることが出来ます。

逆に、菌類が好む環境では、感染が重症化しやすくなります。

菌が繁殖しやすい環境は、以下のような条件です。

  • 日当たりの悪い場所
  • 風通しの悪い場所
  • 温度が15~25℃位の場所(菌の種類によって前後する)

これも一つずつ解説していきます。

日当たりと感染の関係

菌類は日差しに弱いという特徴があります。

樹木が腐朽菌の病気にかかると、
キノコが北側に出ていることが良くあります。

この特徴は他のカビなどの菌類も同じです。

特に日差しの強いところを好む陽樹は、
腐朽菌に弱い特徴があります。

サクラなどはこの典型です。

 

風通しと感染の関係

菌類は湿度によって増殖が加速します。

つまり、日差しがなく、
風通しの悪いじめじめしたところを好みます。

このような状況は菌糸の生長を促し、
感染の重症化を引き起こします。

例えば剪定を怠ったり、密植をすると
腐朽病害に感染するリスクはとても高くなります。

見た目を重視ししてサクラを密植している
日本各地のサクラ並木が、
今この腐朽菌の病害で頭を悩めています。

 

温度と菌の繁殖

菌はだいたい20~25℃位で一番菌糸の生長がはやくなります。

つまり、真夏や真冬は菌が成長しなくなります。

逆に春と秋は菌が繁殖しやすいです。

特に梅雨時期は湿度と日照不足も重なり、
感染リスクが一番高い季節と言えるでしょう。

この時期に腐朽しやすい樹木に大きな傷があると、
たちまち病気に感染してしまいます。

 

しかし、温度が高かったり低ければ大丈夫かというと、
例外の病原菌がいます。

それが、今回紹介するつちくらげ病です。

 

つちくらげ病は熱で増殖する

さて、このつちくらげ病は先述した通り、
たき火後から重大な被害をもたらした病気です。

この病気が発見された研究資料によると、
クロマツの造林地でたき火をしたところ、
そのたき火を中心にクロマツが枯れ始めました。

まずはたき火をしたそばの樹木から枯れ始め、
そこから約4年間かけて、周囲に病気が広がっていきました。

この菌の特徴は、常温では発芽しにくい胞子が、
40℃以上の熱を帯びると、途端に発芽し出すことです。

今回紹介しているたき火の事例は、
このたき火が土を温めてしまい、
発芽できなかった胞子が一斉に発芽したために
起こってしまいました。

また、この菌の浸食はじわじわと広がり、
年2~3mずつじっくり林内に広がっていきます。

こうして、たき火を中心に
半径約12mの樹木のほとんどが枯死してしまいました。

楽しむために行ったBBQが森林を枯らしてしまうという、
知っていないとやってしまいがちな問題です。

ちなみにこのつちくらげ病は
主にクロマツに対して発病します。

クロマツとは、主に海岸沿いに植えられている樹木です。

海でBBQするときは、ぜひこの記事を思い返していただき、
周りにマツがないか確認してから行ってください。

 

 

ということで、今回はつちくらげ病の紹介でした。

ちなみにつちくらげ病とは逆に、
寒くても感染する病気があります。

それは樹木も冬に病気にかかる!?の記事で詳しく紹介しているので、
あわせて読んでいただければ幸いです。

 

外で火を扱う際はなるべく足のあるコンロを使い、
土に直接火がいかないようにしましょう。

 

ではまた。

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