【新種のサクラ】クマノザクラが発見された件

樹木

自分の興味があることで新しいものを発見すると、
テンションが上がりますよね?

例えば美味しいお店とか、落ち着く場所とか・・・

生物が好きな人にとっては、
新しい生物種を発見することがその喜びに繋がります。

私は動植物が好きなのですが、
最近のヒットはチベットスナギツネですね。

めちゃくちゃかわいい顔をしているので、
見たことがない方はぜひ調べてみてください。

最近だとグッズ化もされてるみたいです。

 

話が逸れてしまいましたが、
植物も日々、世界中で新しい種が発見されています。

そして、サクラにも昨年新種が見つかりました!

しかも日本国内で発見されたのです。

サクラの国内での新種発見は100年振りのことであり、
サクラファンにとっては歓喜する情報です。

 

ということで、今回は新しく発見された
クマノザクラについて紹介します。

どのように発見されたのか、どんな特徴があるのか、
他のサクラとも比べながら紹介していきたいと思います。

 

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新しく発見されたクマノザクラ

日本には、300種以上のサクラの品種が存在すると言われています。

しかし、原種となるサクラはそこまで多くありません。

日本に原生する野生種は、
現在9種(カンヒザクラを除く)が確認されていました。

そして、今あるサクラの多くの品種は、
アジア等に生息する原種と合わせて、
14種のサクラがもとになっています。

例えばソメイヨシノはオオシマザクラとエドヒガンの
交配品種だと言われています。

このように、いろいろな原種との掛け合わせにより
多種多様なサクラが生まれています。

 

その中で、今回発見されたのが
クマノザクラという新しい原種のサクラです。

 

では、このサクラはどのようにして発見されたのでしょうか?

 

クマノザクラが発見された場所

クマノザクラは、日本のサクラ調査の中でたまたま発見されました。

2016年の春、三重県熊野市でサクラの調査をしていましたが、
そこでは海岸沿いに植栽されたオオシマザクラぐらいしか
サクラは見られませんでした。

しかし、足を延ばして和歌山県近くまで調査したところ、
那智勝浦町の内陸部で野生のサクラを発見しました。

最初は早咲きのヤマザクラかと思っていたところ、
よくよく観察してみると花の形質が違いました。

 

葉が出てから改めて調査したところ、
やはりヤマザクラとは違う形質のサクラが発見されました。

地元では、変わったヤマザクラとしか
認識されていなかったのです。

 

これをきっかけに、このサクラの本格的な調査が始まりました。

 

クマノザクラの特徴

クマノザクラの特徴は、
まだ研究中のため多くは分かっていません。

しかし、新しい種だと言えるほど、
他のサクラとは形質の違う部分が多くありました。

 

サクラの分類は、
大きく分けると花と葉の特徴で分けています。

観察する主なポイントは以下の通りです。

 

〇花の特徴

  • 花の咲く時期
  • 花の大きさ
  • 花の色
  • 花弁の数
  • 花弁の形(幅や花弁先の切れ込みなど)
  • 萼の大きさ
  • 萼の形
  • 萼の色
  • 苞の形(太さ、倒卵形、円柱形など)
  • 苞の長さ
  • 花序柄の長さ
  • 花序柄の毛の有無
  • 花序柄の毛の向き(毛が立っているか寝ているか)

 

〇葉の特徴

  • 鋸歯の形状(重鋸歯、鋸歯の深さ、鋸歯の向きなど)
  • 葉の大きさ
  • 葉の形(倒卵形、長楕円形、葉先が尖るなど)
  • 葉の毛の有無(葉裏、葉脈上など)
  • 葉の色
  • 葉柄の長さ
  • 葉柄の色
  • 葉柄の毛の有無

 

これらの形質を主に観察して、サクラの分類をしています。

 

これらを照らし合わせたとき、
クマノザクラは特異的な特徴が多く上げられました。

 

まず、花の色は明らかに赤みがありました。
また、花序柄が長く、苞は倒卵形で大型でした。

葉の特徴としては、ヤマザクラよりも明らかに小さく、
キンキマメザクラに近いものの、
鋸歯などに明らかに違いが見られました。

総合的にはカスミザクラに最も近い形質でしたが、
葉柄や花柄に毛がなかったことから、
明らかに違う種類であることが分かったのです。

 

また、これだけでは交雑種の可能性があります。

しかし、このクマノザクラは周囲に
同じ形質を持った個体が次々と見つかり、
結果、奈良県、三重県、和歌山県にまたがり、
南北100km、東西60kmに渡る分布を確認しました。

これらの特徴から、クマノザクラが
野生種であることに確信が深まりました。

 

クマノザクラの花が咲く時期を調べると、
開花期が3月上旬から4月上旬でした。

周辺のサクラの開花期を調べると、
ヤマザクラは4月中下旬であり、
カスミザクラの開花期はさらに遅いことがわかりました。

この開花期の違いは、
クマノザクラとは交雑しない可能性が高いことを証拠付けました。

 

こうして、晴れてクマノザクラは
2018年1月1日にサクラの新種として登録されました。

 

クマノザクラの今後の動き

サクラの分類学的な研究はまだまだ道半ばであり、
研究者によって意見も違います。

また、国境を超えると分類学的立ち位置まで
変わってしまいます。

これらの動向を踏まえて、一層の分類学的研究が必要です。

 

また、植物の分類は今までは形質的特徴によって分類されていましたが、
これからは遺伝子的特徴によって分類されていきます。

大きな分類体系の変化が出てくることも予想されます。

 

例えば、スギはスギ科スギ属スギという分類でしたが、
スギ科はヒノキ科と統合になり、
ヒノキ科スギ属スギという分類になりました。

 

こういったことがサクラにも起きています。

サクラはバラ科に分類される植物種の一種ですが、
このバラ科には、イチゴからサクラ、バラまで
非常に多種多様な植物が登録されている分類群です。

これらの種類が遺伝子的に整理され、
新たな分類体系に組み込まれることは
容易に想像できます。

 

実際にサクラはスモモ属(Prunus属)として扱われてきましたが、
近年ではサクラ属(Cerasus属)として分類することが
一般的になってきました。

これはウメやサクラ、ウワミズザクラを別属として扱うためです。

実際、ウメやモモは枝に直接果実を付けますが、
サクラは柄の先に果実が付きます。

ウワミズザクラになると、花の形質が大きく違います。

ただ、これは研究者によって考えが異なっており、
どちらの属名を使うことが正しいというわけではありません。

そこだけはご注意ください。

 

 

今回発見されたクマノザクラの大きな特徴は、
花が鮮やかなピンクをしており、
ケヤキの様な樹形になることです。

この特徴は公園などのシンボルツリーとしても映えるので、
今後の緑化事業で利用されることが期待できます。

しかし、ソメイヨシノと開花期が被るため、
交配による遺伝子汚染を懸念する声もあります。

個人的な意見としては遺伝子汚染というのは
人間が勝手に個体を種分類に当てはめたものなので、
クマノザクラの分布域に
ソメイヨシノを植栽しない限りはアリだと思います。

新しいサクラが街中で楽しめるようになれば
また外に出る楽しみが増えると思っています。

実際に、クマノザクラの苗木が今年の3月に
熊野市に植樹されました。

これからもこういった流れが日本中に広がり、
緑化に繋がるきっかけになれば良いと思っています。

 

 

 

ということで、クマノザクラの紹介でした!

サクラの楽しみ方の一つとして、
自分の好きなサクラを見つけてみると
より一層サクラを愛でられると思います。

サクラの品種の中には
花弁が百枚以上つく菊咲きの品種や花弁が緑色の品種、
秋にまた花を付ける品種もあります。

ぜひ自分が好きなサクラを探してみてください。

今回見つかったクマノザクラも
是非チェックしてみてください。

 

ではまた。

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