樹木に寄生する生物とその防除方法

樹病・害虫

「寄生」というと、
寄生虫を思い浮かべる方が多いと思います。

人間ではサナダムシやノミ、ダニなどが
寄生生物として挙げられます。

 

動物と同じように、樹木も他の生物から
寄生されることがあります。

しかも、樹木はいろいろな生物から
寄生されることが知られています。

この寄生された状態が、まさしく「病気」の状態であり、
この寄生生物から樹木を守るのが樹木医の仕事でもあります。

 

ということで、今回は樹木に寄生する生物を紹介していきます。

知っていれば簡単に防除できるものもあるので、
しっかり確認して、お庭の樹木を守ってあげてください。

 

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樹木に寄生する生物

まず、寄生という現象の説明をしたいと思います。

寄生とは、2種の生物間において、どちらかが利とし、
どちらかが害となる生活を送る関係のことです。

また、寄生された生物を宿主と表現します。

 

ちなみに寄生と逆の関係を表した言葉が「共生」です。

お互いが利するように行動するものは共生関係にあります。

 

細かく分けると、片方に利があり、
もう片方には利も害もない関係を「片利共生」と言います。

 

では、ここからは樹木に寄生する生物を解説していきます。

 

樹木に寄生する菌類とその防除法

樹木に対する寄生で最も多く見られるのが
キノコやカビの寄生です。

キノコは主に幹や枝に、カビは主に葉や茎に寄生します。

その中でもキノコの寄生は、幹の空洞化や樹勢の衰えなど
樹木の健康状態に直接関わってきます。

特にキノコが幹から出てきている状態は、
だいぶ寄生が進んで危険な状態です。

では、詳しく解説していきます。

 

キノコの仲間

樹木に害のあるキノコは、
厳密にいうと寄生ではなく腐生のことが多いです。

と言うのも、樹木の幹の内部はほとんど死んだ細胞であり、
生きた細胞部分への直接的な攻撃ではないからです。

しかし、ここでは生きた個体に寄生する生物として
一緒に紹介させていただきます。

樹木の幹出てくる菌類は、多くの種類が上記の通り、
腐生生活を送っています。

代表的なのはシイタケやマイタケ、
サルノコシカケの仲間などです。

これらの菌類は、樹木を腐らせることで、
自らの栄養を補給しています。

これらの菌類が寄生するトリガーは、
樹木の傷や、樹木の健康状態に関わっています。

例えば樹木に傷があると、死んだ細胞の部分である
木材の部分が露出してしまうため、菌は侵入しやすくなります。

また、元気がない状態でも抵抗性が落ちるため、
菌は侵入してきます。

これらは人間が病気になる条件と変わりません。

 

つまり、栄養をしっかりあげて、傷を付けないことが
樹木にとって病気を防ぐ一番の方法になります。

とくに梅雨時期や秋雨の時期は湿度が高く
菌が繁殖しやすいため、剪定などは時期をずらした方が良いでしょう。

 

カビの仲間

枯損に繋がるような大きな病害にはなりませんが、
被害として著しく表れるのがカビの被害です。

うどんこ病や黒星病はカビ菌による病気です。

基本的に、カビは植物の表面に付着した後、
組織内に菌糸を伸ばし、植物の栄養を奪います。

また、菌が葉の表面を覆うように繁殖する場合は
光合成を妨げ、樹勢を衰えさせます。

 

このカビによる害を防ぐために一番大切なことは
風通しを良くすることです。

枝先を透かし剪定することでも被害を防げることがあります。

また、どうしても被害が収まらない場合は、
病害に合わせた適用農薬の散布をして防除します。

また、このカビ菌による害に対しても
植物自身の抵抗性をあげることが大切です。

しっかり追肥をしてあげることで
植物の健康を保ってあげましょう。

 

樹木に寄生する虫の仲間

近年では松くい虫やナラ枯れが大きな問題になっています。

これらは、どちらも虫の寄生が
トリガーとなって発生する病害です。

最近では外来種も猛威を振るっており、
大きな問題になることが多い害の一つになっています。

 

カミキリムシ

カミキリムシは樹木の幹に穴をあけて侵入し、
そこで産卵します。

このように幹に穴が開いてしまうと、
樹木は病気にかかるリスクが一気に上がります。

また、枝や苗木など細い幹が害を受けると
枯れてしまう恐れがあります。

 

また、マツ枯れで有名なマツノマダラカミキリは
マツノザイセンチュウという線虫を体に住ませており、
マツの食害によって線虫を媒介します。

マツに侵入したマツノザイセンチュウは水分の通水が阻害し、
最終的にマツを枯らしてしまうことが知られています。

この事例のように、食害が原因ではなく、
二次被害によって大きな問題になることが多いです。

 

カミキリムシの被害対策には、
今のところは薬剤防除しかありません。

マツ枯病については抵抗性品種もできてきているので、
新植する動きも活発になってきています。

 

また、最近では外来種である
クビアカツヤカミキリが問題になっています。

このカミキリムシはサクラなどのバラ科樹木に寄生し、
枯死させることが報告されています。

首の部分が真っ赤なので、とても分かりやすい特徴です。

発見した場合は、速やかに市区町村に連絡をお願いします。

 

キクイムシ

キクイムシもカミキリムシと同様、
食害によって樹木に侵入します。

また、大きな被害になるときもカミキリムシと同じで、
菌による二次被害が多いです。

特に、近年問題になっているナラ枯病では、
カシノナガキクイムシという害虫の食害が
主因となっています。

このカシノナガキクイムシは
背中にナラ枯れ菌という菌を保有しており、
食害と同時にこの菌が樹木に感染します。

また、カシノナガキクイムシは樹木に侵入後、産卵をします。

そして孵化した幼虫は、
菌で腐って食べやすくなった木材を食べます。

そこでまた幼虫に菌が侵入し、
他の樹木へ菌ごと移動します。

つまり、このカシノナガキクイムシとナラ枯菌は
共生関係にあります。

こうやってこのナラ枯病は、とてつもないスピードで
被害が拡大しています。

 

アブラムシ

アブラムシは葉や茎に寄生し、
植物の細胞から汁を吸っています。

また、アブラムシの糞は葉の表面に
カビが発生する原因にもなります。

カビが発生すれば光合成が阻害され、
樹勢が衰える原因になります。

 

アブラムシの防除には、一般的には薬剤散布を行います。

また、透かし剪定で風通しを良くしてあげると
発生を抑えられます。

 

近年注目されている防除法で、
コンパニオンプランツというものがあります。

例えば、バラの根本にラベンダーを植えると、
アブラムシの防除になるという報告があります。

こういった防虫効果のある植物を
コンパニオンプランツといいます。

上手くコンパニオンプランツを使って
アブラムシを防除するのも良いかもしれません。

 

カイガラムシ

カイガラムシもアブラムシと同様、
吸汁性の害虫です。

主に茎や葉に尽きますが、枝に付くこともあります。

カイガラムシの糞も、
すす病などのカビ菌の発生源になります。

 

カイガラムシの防除方法は、
活発に動く5月頃に薬剤散布をするか、
直接はぎ取るしかありません。

樹勢が弱ると付きやすくなるので、
しっかり樹木に栄養をあげてください。

 

樹木に寄生する植物

樹木に寄生するのは、虫や菌だけではありません。

なんと、植物も樹木に寄生することがあります。

これらの寄生性植物は、
しばしば樹木を枯死させることがあります。

 

ヤドリギ

ヤドリギは樹木が落葉すると
寄生している部分が分かりやすくなります。

このヤドリギは、粘り気のある種子を
木の枝に付着させ、発芽します。

発芽すると根を寄生宿主の樹皮内に食い込ませ、
水分やミネラルなどを奪います。

しかし、光合成は自らの葉緑素で行うので
宿主が枯死することはめったにありません。

一部、オオバヤドリギという種類は
枯死に至らせるという報告があります。

基本的には寄生された枝ごと切り取ることで防除します。

しかし、ヤドリギの中には
絶滅危惧種に指定されている種類もいるので
切除時にはお気を付けください。

 

フジなどのつる性植物

フジやキヅタなどのつる性植物は
木に絡みつき、肥大成長を変形させます。

変形したり巻き込んだ部分は傷になりやすく
腐朽するリスクが高くなります。

また、つる性植物が樹冠を覆うこともあり、
そうなると樹木は光合成不良となり枯死することがあります。

大切な樹木にツタが巻き付いている場合は、
早めに切除してあげましょう。

 

寄生性生物から樹木を守る方法

寄生性生物から樹木を守るためには、
基本的には樹木の健康を保ち、抵抗性を上げてあげることです。

また、防除対象の樹木が、
きちんと適地に植わっていることも大切です。

樹木の特徴を理解してあげて、
その特徴にあったところに植えてあげることで、
病気のリスクを低減させることが出来ます。

当ブログでは樹木の特徴と適地を紹介しているので、
暇なときにぜひ覗いてみてください。

 

また、定期的に樹木をしっかり見てあげることが
とても大切です。

変化に気づければ、早い段階で対策を練ることが出来ます。

庭木であれば、定期的に会話をしてあげてください。

しゃべらなくても、きっと何かが聞こえてくるようになります。

 

 

 

ということで、樹木に寄生する生物の話しでした。

樹木を守るには傷を作らないことや
風通しを良くすること、そして早期発見が大切です。

もし分からないことがあれば気軽にコメント下さい、

答えられる範囲で頑張って対応いたします!

 

ではまた。

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