クリ( Castanea crenata)
〇科名:ブナ科
〇和名由来:果皮の色から黒の転。諸説あり。
〇学名由来:「Castanea 」=ギリシャ名「castana」のラテン古名。
「crenata」=円鋸歯の の意
〇別名:クル、クルコ、ヤム
〇広葉樹・落葉樹・雌雄同株
〇分布:日本各地の山野
〇葉の特徴
葉は7~20㎝の狭長楕円形で互生する。
縁には針状の鋸歯があり、葉先は鋭く尖る。
葉の表は濃緑色でやや光沢がある。
裏は灰緑色で葉脈上に星状毛がある。
〇花の特徴
5~6月に新枝の基部から黄白色の雄花の尾状花穂が垂れ下がる。
雌花はその下方に数個咲く。
花には独特の甘い匂いがする。
〇実、種子の特徴
果実はいがの中に堅果が2~3個熟す。
〇幹、枝の特徴
若い木は暗い茶色で平滑。
小さい菱形の皮目が目立つ。
成木になると灰色で縦に裂ける。
〇育成環境
土壌 | 潮害 | 耐寒 | 日照 | 乾燥 | 湿潤 |
砂壌土 | △ | 〇 | ◎ | 〇 | 〇 |
〇暦
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | |
開花時期 | ||||||||||||
果熟期 | ||||||||||||
剪定適期 | ||||||||||||
移植適期 |
〇管理方法
成長は早い。環境適性が広く育てやすい。
自然系が美しいので剪定は透かすようにする。
日蔭には弱い。
クリは自家受粉だと結実率が悪いので2種以上を一緒に植えると良い。
〇病虫害
・クリ胴枯病
主に主幹や枝に発生する。
始め樹皮の一部が赤褐色に変色し凹む。
後に罹病部の表面に小さな黄橙埴の粒(子座)が生じる。
子座が熟成すると胞子を放出する。
樹皮下で淡黄色の菌糸を伸ばし、枝周りを一周すると枯死する。
密植時に多く見られる病気なので、
間隔をあけて植樹することが防除に繋がる。
施肥も防除に繋がる。
枯死枝は速やかに処分し、切り口に塗付用殺菌材を塗る。
・クリタマバチ
成虫の体長は2.5~3.0㎜。全体が黒色で光沢があるハチの仲間。
足は黄褐色で翅は透明。
年一回発生で芽の組織内に若齢幼虫で越冬する。
春に伸長成長と共に害が発生する。
6月頃に羽化するが、虫こぶ内から脱出するのは
6月下旬~7月上旬。その後、新しい芽に産卵する。
抵抗性品種を栽培するか、成虫発生期に農薬散布で防除する。
〇利用、豆知識
雑木の庭によく合う樹木。
大きくなるので植樹場所はスペースが必要。
堅果の果皮と渋皮を向いて食用とする。
クリの材は硬く腐朽しにくいので枕木や建築材に用いる。
樹皮のタンニンは染料やなめし皮に用いる。
クリは縄文時代の遺跡からも出土し、
古来から重要な食糧とされてきた。
1904年、ニューヨークでクリ胴枯病が確認され、
その後瞬く間に被害が拡大し、わずか50年で
北アメリカの天然のアメリカグリが駆逐された。
原因菌はDNA鑑定により、日本産の菌だということが判明した。
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