紅葉と落葉の不思議【落葉までの生理学を解説します】

樹木

どうもカントーです。

 

9月の後半にもなると、
早い樹木は葉の緑色が抜けていき、紅葉の準備をし始めます。

紅葉は、四季のある日本ならではの醍醐味です。

 

しかし、この葉の色が変わる現象は何故起こるのでしょう?

 

ということで、今回は樹木の紅葉と落葉について解説していきます。

 

スポンサードサーチ

紅葉と落葉の不思議

紅葉は、主に落葉樹にみられる落葉の準備です。

紅葉を理解するためには、
落葉樹の生理学的戦略を理解する必要があります。

まずは葉のつくりを簡単に説明して、
何故落葉するのか、そして何故落葉の前に紅葉するのかを解説していきます。

 

葉っぱのつくり

 

植物の葉っぱは、主に光合成をするためにあります。

葉っぱの細胞の中には葉緑素という細胞質があり、
そこで光合成をしています。

ちなみに光合成とは、
光と二酸化炭素と水から、酸素と糖と水を作り出す働きです。

 

光合成の反応

光+6CO₂(二酸化炭素)+12H₂O(水)=C₆H₁₂O₆(糖)+6O₂(酸素)+6H₂O(水)

 

植物はこの光合成を行うことで、
生きるためのエネルギー源をつくっています。

人間に例えると、ご飯を食べることに近いです。

 

ちなみに、光合成が一番活発に行われる温度は、
25~30℃だと言われています。(樹種によって前後します)

この最適温度が紅葉と深く関わっています。

 

なぜ落葉するのか?

樹木は常緑樹と落葉樹に種類を分けることができます。

例えばサクラやモミジは冬に葉を落とすので
落葉樹の仲間です。

この落葉樹という種類は、
主に四季変化がある地域に生息しています。

 

なぜ四季変化のある地域に落葉樹が生息するのかを解説します。

 

夏と冬の寒暖差がある地域では、
夏には光合成を旺盛に行えますが、寒いと少ししか光合成ができません。

大きな樹木になってくると、
冬場は光合成で得られるエネルギーより
生きていくための消費エネルギーが上回ってしまいます。

そうなると樹木は弱ってしまいます。

そのような逆転現象を防ぐために、
冬の間に休眠する戦略を取ったのが落葉樹です。

クマなどの哺乳類と同じです。

 

ちなみに極側の寒い地域では一年通して寒いため、
常に葉を付けて栄養を作り続けなくてはいけません。

また、寒い地域は雪が降るため、
雪が積もりにくい常緑針葉樹が繁栄しています。

 

逆に赤道近くの温かい地域になると、
光合成を盛んに行える期間が長いため、
落葉させる意味がありません。

赤道付近に生息する樹木は、常緑広葉樹が多くなります。

 

紅葉する理由

落葉樹が紅葉する理由は、
落葉の準備によって起こる葉の細胞内の反応が関係しています。

 

詳しく解説していきます。

 

落葉樹は気温が下がってくると、休眠のために落葉の準備を始めます。

この落葉をするとき、葉にはまだ栄養が残っているので
このまま葉を落とすと栄養を失ってしまい、もったいないことになります。

 

そこで落葉樹は、落葉前に葉緑体を分解、吸収する進化を遂げました。

落葉樹は葉緑素を分解すると窒素やマグネシウムなどが生成され、
その栄養を枝が吸収することができます。

 

また、この葉緑体の分解、吸収反応の中で、
複産的な物質が生成されます。

それが紅葉と直接的に関わっています。

 

葉緑体の分解と紫外線の影響で、葉の細胞内で
フラボノイド系色素の一種である、アントシアンが生成される樹種がいます。

このアントシアンが赤色をしており、
これが落葉前に紅葉する理由です。

 

つまり、イロハモミジやナナカマドは
落葉前のアントシアンの生成が盛んに行われる樹種のため、
秋に真っ赤な紅葉が楽しめるということです。

 

ちなみに、落葉樹が何故アントシアンを生成するのかは分かっていませんが、
以下のような仮説があります。

 

葉緑体を分解したとき、葉緑体内にあるクロロフィル(葉緑素)が
直射日光に当たると、励起状態(エネルギーの高い状態)になり、
毒性の強い活性酸素を作り出します。

活性酸素は葉の細胞を壊してしまうため、
分解した栄養分を吸収することができなくなってしまいます。

そこで、青色光を吸収するアントシアンを生成することで、
葉緑素が励起状態になることを防いでいる、という説です。

また、落葉前は虫害に合いやすいので、
抵抗物質としてアントシアンを生成しているという説もあります。

実際にアントシアン含有の多い葉はアブラムシの害が少ないという報告があります。

 

黄葉と褐葉

紅葉する樹種の中には、イチョウのように黄色になる樹種や、
ケヤキのようにオレンジ色や茶褐色になる樹種もいます。

 

まずは葉が黄色になる反応の解説をします。

 

落葉樹が葉から栄養を吸収するために
葉緑体が分解される理由は既に説明しました。

この分解時に、アントシアンを生成しない樹種もいます。

アントシアンを生成せず、元から細胞内にある
カロテノイドの色が出てくると、黄色い葉になります。

カロテノイドにはカロテンやキサントフィルなど、
いろいろな物質が知られており、その物質によって
黄色の質も変わってきます。

 

ちなみにアントシアンとカロテノイドが両方の色が出てくると
オオモミジのようにオレンジ色の紅葉になります。

 

ケヤキなどの樹種は赤褐色の紅葉をします。

落葉準備で葉緑素が減少し、タンニンという物質の仲間が化学変化して
フロバフェンという物質ができると、ケヤキのように葉が褐色になります。

 

ちなみにハンノキなどの樹種は冬ギリギリまで葉をつけ、
緑色の葉のまま落葉します。(落葉前は少しだけ緑色が退色します)

ハンノキの仲間は栄養回収をしない代わりにギリギリまで光合成を行い、
また、葉緑体を分解するためのエネルギーを温存していると考えられます。

 

終わりに

日本は丁度いい緯度に位置しているため
紅葉を楽しむことができますが、
世界的に見るととても珍しい、特別な地域です。

また、生物多様性も豊かで、
秋の山が織りなす鮮やかな赤やオレンジ色のモザイク模様は
日本独特の風景です。

この紅葉を楽しむために、
庭におススメの樹木の紹介記事も書いているので、
是非そちらも読んでみてください。
紅葉で庭を彩るおススメの樹木5選【紅葉編】
紅葉で庭を彩るおススメの植木5選【黄葉・橙色編】

 

ではまた。

 

コメント