【葉の防御反応を解説】樹木は虫や菌にどうやって抵抗しているのか?

樹病・害虫

どうもカントーです。

 

近年は台風による倒木被害の報告が多くなりました。

樹木が台風で倒れてしまうのは、
強い風が吹くという理由だけではありません。

病気や虫害によって倒れやすくなってしまっているのです。

 

しかし、樹木も病気や虫に対して、何も抵抗をしないわけではありません。

人間のように免疫機能を備えています。

今回は、樹木が自分を守るために行っている
葉の防御反応について解説します。

 

スポンサードサーチ

樹木の敵は菌と虫

樹木の天敵は菌と虫です。

まずは樹木の大きな天敵である菌と虫がどうやって
樹木に被害をもたらすのかを簡単に解説します。

 

樹木の菌害

樹木に害を与える菌は大きく分けて二種類います。

一つはカビの仲間です。

カビは葉の表面や枝につきやすく、表面を侵食します。

葉の表面を侵すカビとして有名なのがうどんこ病です。

うどんこ病は、生きている葉の細胞から養分を吸って
繁殖しています。

これらの葉に出現するカビの仲間は、樹勢に影響を与えるものの、
枯死には至らないことが多いです。

逆に、枝に発生するカビの病気は
樹皮下で栄養を奪い、枝を一周侵すと、
そこから先の枝が全て死んでしまいます。

イヌツゲ枝枯病やリンゴ腐らん病の原因はカビの仲間であり、
木を枯らしてしまう恐れがある病気を引き起こします。

樹木のカビ菌による病気は多く報告されています。

 

もう一つの樹木の病気となる菌は、キノコの仲間です。

キノコには腐朽菌と呼ばれる生物群がいます。

例えばシイタケやマイタケなどは腐朽菌です。

これらの菌類は、木材を腐らせて栄養を得ています。

腐朽菌が樹木に感染すると、生きている樹木でもどんどん幹が腐ってしまい、
スポンジ状になったり、幹の中が空洞になってしまいます。

また、キノコは菌糸が樹木の中で蔓延し切った後に形成するので、
キノコが生えている樹木は、治療をするには既に手遅れのことが多いです。

 

樹木の虫害

樹木の虫害は、主に食害によって起こります。

例えばガやチョウの幼虫は葉を食べてしまい、
カミキリムシやキクイムシは枝や幹を食べてしまいます。

樹木は葉や幹を食べられることで、
樹勢が弱ってしまうことがあり、酷い場合は枯死に至ります。

 

今、日本で大きな問題となっているマツ枯病は、
カミキリムシがマツを食べてしまい、
そのカミキリムシの体内から線虫がマツに感染して起きてしまう病気です。

この病気に罹るとマツは枯れてしまいます。

 

また、最近大きな問題となっているナラ枯れ
カシノナガキクイムシという虫が原因の病気です。

カシノナガキクイムシは背中に菌を飼っており、
幹を食害し、侵入すると、菌が樹体内で蔓延する仕組みになっています。

このナラ枯れも被害木は枯死に至ってしまう重大な病気です。

 

葉の防御反応

動物は脅威があれば走って逃げることができますが、
樹木には足がないので逃げることはできません。

つまり、虫に食べられそうになっても、
じっと待っていることしかできないのです。

しかし、樹木も食べられないように工夫をしています。

ここからは樹木の病虫害に対する葉の防御反応について解説していきます。

 

葉の防御反応

葉は植物が光合成をして糖を作る部分であり、
植物の中でも栄養が集まっている器官の一つです。

虫や菌類はこの栄養を求めて葉を侵します。

 

しかし、葉には主に以下のような
二つの防御機能があります。

 

 1.過敏感細胞死
 2.抗生物質の生産

 

菌は葉に感染すると菌糸を細胞内に伸ばして糖などを吸収しようとしますが、
葉は過敏感細胞死と抗生物質を生産することで防御します。

この二つの働きをもう少し深く説明します。

 

過敏感細胞死

過敏感細胞死とは、植物の組織がある条件に置かれると
細胞の一部が自ら死んで病原菌の侵入を防ごうとする反応です。

病原菌は生きた葉の細胞から糖などの栄養を吸おうとします。

逆にいえば、生きていない細胞からは栄養が摂れません。

 

植物の葉は菌の感染を感じると感染すると部位のとその周囲の細胞が死んで、
そこにフェノール性化合物などの抗菌物質が蓄積します。

また、細胞壁はスベリン化、リグニン化して菌からの攻撃を防御します。

スベリンとはコルクに含まれている疎水性の蝋物質で、
単純に細胞の防御力を上げます。

リグニンとは樹木の20~30%を構成する物質で、
主に死細胞に蓄積されており、主に植物体の支持をしています。

リグニンには虫の食害や抗菌作用があることが報告されています。

 

抵抗物質の生産

過敏感細胞死のところでは死細胞に蓄積される抵抗物質について少し触れましたが、
生きた細胞にもちゃんと抵抗物質を生産します。

樹木は攻撃を確認するとエチレンやサリチル酸、ジャスモン酸という物質を生産し、
全身に攻撃を受けたことを伝達します。

被害が伝達されると、樹木は蓄積してあった
抗菌性物質であるプロヒビチンを損傷部に送ります。

また、元から持っているインヒビチンという抗生物質を生産したり、
新たな抗生物質(ファイトアレキシン)を生産します。

こういった抗生物質の生産によって、
樹木は抵抗力を高めていくのです。

 

また、このような防御反応が起こると
樹体からエチレンやサリチル酸メチルが放たれ、
その情報を受け取った他の樹木も抗生物質を生産して
抵抗力を高めることが分かっています。

 

 

 

ということで、今回は樹木の病気と葉っぱの抵抗性についてでした。

紹介した防御反応は、樹木が健全な状態を保っていて機能するものです。

病気に罹らないように、また病気に対してしっかり防御できるように
樹木の健康を維持してあげることも大切なことです。

 

ではまた。

 

コメント