樹木の病気が分かる!見つけ方と対処法。

樹病・害虫

大きな台風が来ると道路に木が倒れているニュースをしばしば見かけます。台風が来ると大変だな、と思いますが、原因は台風ではなく、台風に耐えられなくなった樹木の健康状態の方が大きな問題です。

また、庭先でも葉っぱが黄色くなったり茶色くなったり、枝先が枯れてきたり、新芽が出てこなかったりといろいろな問題が見られると思います。それらは全て水分、栄養状態がよくなかったり、病気にかかっている可能性があります。

そこで今回は樹木の病気の特徴と、樹木が病気か判断するためのチェックポイント、また、チェックポイントに対応した対処法を簡単に解説していきます。

樹木の病気とは?

まず最初に、樹木の病気にどんなものがあるか解説していきます。木が何となく弱っているとき、何が原因かわからないことが多いと思います。樹木医でもその判断が難しいことがあります。

ただ、樹木が弱る原因は大まかに5種類あります。それは酸素不足、水分条件、栄養不足、虫害と菌害です。ちょっと気になるキーワードが出てきました。樹木の酸素不足って何のことか分からない方が多いと思います。以下で上記5つの原因を説明していきます。その原因でどんな症状になるのか、また症状が出た時にどうしたらいいのかを解説します。

樹木の酸素不足について

樹木の酸素不足というのはあまり一般的に知られていることではありません。しかし、樹木にとってとても大切なことであり、水分や栄養より大切だと言われています。まず樹木はどこで酸素を吸収しているかというと、幹や枝、そして根で行っています。特にこの根で吸収している酸素は樹体の健康に大きく関わってきます。

樹木の根が酸素を吸収できなくなる原因は土の目詰まりにあります。つまり、土壌中に適度な空気が必要です。ではなぜ土壌が目詰まりが起きてしまうのでしょうか?原因は以下の項目が挙げられます。

  1. 人間や動物が土の上を歩くことで踏み固まってしまうこと。(踏圧といいます。)
  2. 粘土質が高く、土の中に隙間ができにくいこと。
  3. 植樹するときに土を入れて固めてしまうこと。

天然記念物に指定されている樹木は、根本付近まで近寄ることが出来ないことがほとんどです。これはいたずら防止のためだけでなく、多くの人が見物に来た時に、根本まで来ることで根本の土を踏み固めてしまうことを予防するためです。実際に踏圧で枯れた樹木も多くあります。神社等でも御神木として崇められている木には近づけないことが多くなりました。

では、樹木が酸素不足にならないようにはどうしたらいいのでしょうか。樹木医が行う治療例と、家庭の樹木でもできる簡単な方法を教えます。

〇酸素不足時の治療例

樹木医で推奨されている方法はエアースコップという空気圧で穴を掘る機械を使い、根を傷つけないように土を掘り返して、固い部分をほぐしていきます。また、その土質に合わせて腐葉土や肥料を混ぜて土壌改良します。腐葉土等を混ぜると土壌が空気を含みやすくなります。また場合によっては竹筒を地面に埋めることもあります。これは直接土に空気を送るためです。

しかし、上記の方法はご家庭ではちょっと難しい部分が多いと思います。エアースコップがあって竹筒がすぐに用意できる家庭はまずないと思います。

そこでご家庭でもできる簡単な方法を紹介します。その方法はあのBBQで大活躍する、炭を使います。まず治療したい樹木の根元を見て、太い根っこに沿って掘っていきます。(追い掘りと言います。)この時くれぐれも根っこを傷つけないようにしてください。そして掘った土に腐葉土と炭を混ぜて戻します。

なぜ炭を使うかというと、炭の塊にはたくさんの隙間があり、たくさんの空気を保持してくれるからです。炭を土壌中に入れると根っこが炭の塊に絡みつくように成長します。また、土の中に埋めても将来的には土に還るので安心です。

また、踏圧の場合はまず樹木の周辺を歩かないことが一番です。柵をつけるなりロープで囲うなりの対処が必要です。

樹木の水分条件について

植物にとって水やりが大切だということはよく知っていますが、あげるタイミングはよくわからなず、特に考えずに水やりをするのが普通かと思います。樹木医でも現場に行って確認しないと答えられないことがほとんどです。その理由は、樹種によって水分の必要量が違うことと、植わっている環境によってあげるタイミングが違うからです。

樹種による水の必要量の違いは、その樹木について詳しく調べることでやっと分かります。陰樹か陽樹か、自生地が山の尾根か沢沿いか、などいろいろな条件で必要な水分状況を推察することができます。例えばカツラであれば山の中の沢沿いを好むので、水分は多い方がいいだろう、といった感じです。また、今の時代ちょっと検索すれば水をたくさんあげた方がいい、また少なくていいといったアドバイスをしているサイトもあります。参考にするといいでしょう。

しかし、一番の問題は環境です。植物に合った場所に植えられていれば教科書通りで大丈夫ですが、庭木などはそうではないことがほとんどです。以下植えられている環境で確認すべきポイントをまとめます。

ポイント1 日光

樹木は大きく分けて陰樹と陽樹に分けられます。これは自然の中にいたとき、どんな日光条件の下で生きていたかということです。例えばサクラは太陽が大好きな陽樹になりますし、アオキは日蔭が大好きな陰樹です。

上記の通り、樹木の求めている環境に沿った場所に植えてあげていれば良いのですが、この条件に合っていないと大変なことになります。例えばサクラを日蔭に植えると土が乾きにくいため、根っこは水分過多で腐ってってしまうことがあります。逆にアオキを強い日差しの場所に植えると、水分不足になりがちで、葉が萎れたり、茶色く変色したりします。

この例だと、日陰に植えられたサクラには、水はほとんどいらないですし、むしろ水が溜まらないようにサクラの周囲で低い土地に少しでも水が流れるようにしてあげる方が良いです。逆に日向のアオキの場合は水をこまめにあげたり、南側にアオキよりも大きい樹木を植えてあげることで、アオキを守ってあげると良いでしょう。

ポイント2 土壌条件

日光条件の次に大切なのが土壌条件です。土は乾きやすい土、水分を保持しやすい土、水を通しにくい土などいろいろあります。一番いい土だと言われているのが、腐葉土が分解されて、栄養がたっぷり入った黒い土です。逆に樹木にとって悪い土は粘土質であったり、砂質の強い土です。

粘土質の時には水が浸透しづらく、地表にあれば地面に浸み込みづらくなり、地中の根っこの下に粘土層があると、その上に水が溜まってしまい、土壌の水分過多で根腐れをしやすくなってしまいます。粘土の場合は基本的に土壌改良しかないです。追い掘りして粘土を良い土に変えてあげましょう。

砂の場合は粘土とは逆に水の透水性が良すぎてしまいます。砂に水をあげても、すぐ下に浸み込んでしまい、根っこの周囲には水が留まりません。砂地の対策も基本的には土壌改良です。しっかり腐葉土などの有機質の土をしっかり与えてあげてください。

ポイント3 天候

樹木にとっての天災は、人間にとっての天災よりも危険度が高いです。その理由は予想ができても逃げられないからです。大雪の予報でも、台風でも、長雨でも、干ばつでも、その場所から動くことができません。よって、もともとその樹種が生きていたところが湿潤であれば、その種は干ばつにとても弱い場合が多いです。また、亜熱帯地域の植物は雪が降ればたちまち傷んでしまいます。降水が続いてしまう場合は基本的にどうしようもありませんが、降水がない状態が続くときは、やはり水をあげることが必要です。

何度も記述している通り、樹種によってあげる水の量や回数は変わっていきますが、夏場は3日降らなければ、一度たっぷりと水をあげると良いでしょう。あげるタイミングは早朝か夕方が良いです。理由は、日中に水をあげると地表面の蒸発量が多くなること、そしてお湯になってしまうと根っこを痛める可能性があるからです。早朝に水をあげれば、日中の光合成で使う水分がしっかり確保されますし、夕方にあげればその日に土に溜まった熱を下げることで、樹木の生長を促します。

逆に冬場は午前中に水をあげるようにします。蒸発量も少ない冬場に、午後になってから水をあげると、土壌中に水分が残ったまま夜を迎えてしまいます。そうなると土壌中の水分が凍り、根を痛めてしまうことがあります。根の傷は病害にも繋がりやすいので注意が必要です。

栄養不足について

栄養というのは、人間には見るだけで判断ができるものではありません。私たちが牛乳を見てもどれだけたんぱく質が入っていて、カルシウムが入っているのかは判断できません。ただ、牛乳が栄養価の高い食品だということは知っています。このように、土壌も見た目や粘性で推察をしていくしかありません。

水分の話で述べた通り粘土質や砂質の土壌は栄養価が低いです。また、粘土質や砂質ではなくても土壌の色が黄色かったり、赤かったりする場合は有機質が少ない証拠です。有機質がたっぷり入っている土壌は、基本的に黒くなります。(元の岩盤地質などの性で黒い場合は栄養はありません。)これらを基準として、黒くて栄養がたくさん入っている、粘性がちょうどいい土が最高の土壌と言えます。また、この条件も樹種によって違うので、調べてから条件を整えてあげることがベストです。例えば砂地や乾燥に耐える樹木に、腐葉土たっぷりの土壌改良をすると、根腐れしやすく病気にかかりやすくなる場合もあります。

病害について

病害は基本的に菌類によって起こされる症状を指しますが、虫害や天災を起因に発生することが多いです。菌における病害は大きく分けてカビ、キノコまたウイルスなどが原因となります。

カビによる害の例でいうと、葉の表面に白い粉状のものが付着するうどんこ病や、葉っぱが真っ黒になるすす病などがあります。これは防除がとても難しいのですが、やはり周囲の環境によって病気の進行を促進してしまいます。キノコは根元に発生していることが多く、たまに枯れた幹や枝にもカワラタケのような平べったい硬いキノコが生えていることがあります。また、殺菌剤を撒く防除法もあります。

菌害を防ぐのに一番大切なことは通気性です。蒸散量にも影響しますし、通気性が悪いと病虫害が発生しやすくなります。菌類は高湿度で日の当たらないの場所を好むので、適度な剪定は大切になってきます。

例えば街路樹の根元にサツキツツジなど低木が植わっている場合、低木をめくって根元を見ると大きなキノコが生えてたりします。また、混んでいる枝葉の部分からカビによる斑点性の病害が発生することもよく見られます。

まずは、湿気の溜まるような場所にはなるべく植物を植えないこともそうですが、ちゃんと剪定をすることで、通気性を保つことが大切になります。

また、幹が太くなってくると、どうしても幹の芯が腐ってきてしまいます。これは長年生きてきた中で、どうしても枝の剪定痕や幹の傷などから菌が侵入してしまい、中を腐らせてしまうからです。この時大切なことは、傷跡や外から見えている空洞を塞がないことです。穴を塞いでしまうと湿度が保たれ、菌の繁殖しやすい条件が整ってしまいます。

樹木の空洞化は倒木の恐れもあるので、街路樹であれば行政、お庭であれば近くの樹木医に診断を頼むと良いでしょう。ちなみに樹木医は都道府県ごとに協会があるので、その連絡先を調べて問い合わせれば間違いありません。

虫害について

虫害もいろいろな症状があるのですが、代表的な被害を紹介します。

1.葉の食害

庭先で一番よくみられる虫害が、葉っぱが食べられていることだと思います。これは何という種類の虫による被害かを突き止めなければ防除が難しいです。樹種ごとの病虫害を調べると、ある程度害虫が絞れるので、その虫に合った殺虫剤を使用するのが良いと思われます。また、被害委ひどい場合は樹木医やお近くの造園会社に相談する方が良いかもしれません。

2.枝、幹の食害

枝や幹に被害が出る場合、幹に穴が開いていたり、また筋状に食害痕が残っている場合があります。穴が開いている場合は上記同様、樹種と症状から害虫を絞り、細いノズルのついた殺虫スプレーを直接穴の中に吹き込みます。また、土壌に撒くタイプの防虫剤もあるので、併用が一番いいと思われます。幹や枝の表面にある食害の場合も同様、土壌に撒くタイプの防虫剤が良いでしょう。

幹に穴が開くと菌害も併発する恐れが高いので、見つけ次第、すぐに対処することが大切です。

根の病虫害について

根の病虫害は見えづらく、かつ重病化しやすいので、重大な病気です。しかし判断が難しく、また発見される頃には治療が困難で、対処が極限られた効果の薄いものになります。

根に病気が見られた場合は発根剤を使用したり、根が吸収できる栄養と、幹のバランスを見て剪定してあげることが大切です。このバランスが崩れると栄養不足で枯れが進行してしまいます。ただ、この剪定も絶対的な効果が表れるとは限りません。やらないよりかはマシ程度だと思ってください。

根における病虫害は未然に防ぐことが大切です。しっかり栄養を取って健全な根を伸ばすこと、また、虫が来る前に防虫剤を使用するなどの対策をとると良いでしょう。

以上、樹木の病気の簡単な解説でした。 大切な樹木を守るためには、健康被害や病虫害の早期発見が大切です。しっかり見てあげて、大切に育てれば、植物もそれに応えてすくすくと育つことでしょう。

長文になりましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。
ではまた。

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