山火事で増える?凄まじい生存戦略を持つ植物。

樹木

植物といえば花が咲いて、実がなって、種が落ちて、新しい芽が出てくる。このサイクルが普通だと日本にいると思ってしまいます。しかし、海外に出て植物を見てみると日本ではありえないような繁殖戦略を持っている植物がいます。今回は、なんと山火事によって増殖する植物を紹介します。

その名は‘ブラシノキ’

ブラシノキとは日本でもよく植えられているフトモモ科の樹木です。カリステモンとして流通していることもあります。オーストラリア原産の樹木で、明治中期に日本に入ってきたと言われています。葉っぱは細長く、花は穂状に付き、5枚の花弁がありますがあまり目立ちません。しかし、赤く長細い雄しべがブラシ状に広るので、圧倒される外観をしています。日本でも洋風の庭に合うので、しばしば見られることがあります。

このブラシノキの特徴は去年、または一昨年の果実も枝に付きっぱなしになっています。なぜ今年以外の果実も枝に付けたままなのでしょうか?これにはオーストラリアならではの理由がありました。

オーストラリアの気候

枝に果実をつける理由、それはオーストラリアの気候に関係しています。ブラシノキの仲間はオーストラリア全域に分布しています。オーストラリアの気候の特徴としては、世界的に見ても乾燥が激しい地域であることがあげられます。国土の80%は乾燥地帯です。乾燥した地域だと、どういった自然現象が起きるでしょうか?

日本でも乾燥する冬に警戒情報が流れてきます。それは山火事です。乾燥したオーストラリアでは山火事が頻発することでも有名です。また、オーストラリアの植物で有名なユーカリですが、このユーカリはテルペン類という引火性物質を含み、乾燥と暑さが重なると自然発火します。これらの原因でオーストラリアでは森林火災が頻繁に起こるのです。

ブラシノキの生存戦略

森林火災の多いオーストラリアの気候の中で、植物が繁殖していくのに効率の良い方法を探し出したのがブラシノキでした。ブラシノキは森林火災、または自身が枯死した時に種子を散布します。これは、普段の状態で種子を散布するより、火事があった後に種子を散布する方が繁殖効率がいいからです。

まず、森林の中では絶えず種間の競争が起きています。日差しが必要な樹木であれば、大きな樹の下にいる時点で成長できません。これは競争に負けてしまうことになります。また発芽後すぐは虫や菌に侵されやすく、苗木の段階ではまだ幹も柔らかいため、動物の餌になることもあります。その中で、山火事後の状況はどうでしょうか?日差しを奪う競争相手もいない、菌も滅菌状態、動物も逃げてしまっています。さらに土壌は山焼き状態で灰が多く、栄養たっぷりです。この絶好のチャンスを逃さなかったのがブラシノキということです。ブラシノキの果実は炙られた後1~2日で弾けて粉状の種子を飛ばします。この種子は競合相手や天敵のいない中を悠々自適に成長するのです。

一見植物にとって甚大な被害を与える山火事ですが、それすらも逆手にとって繁殖する植物がいる、というお話でした。世の中の植物はいろいろな不思議や驚くべき生態で生きています。少しでも楽しんでいただけたら幸いです。

ではまた。

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