時代遅れの技術、マツのこも巻きについて

樹病・害虫

冬、和風庭園に行くと
マツの幹に藁が巻いてあることがあります。

これをマツのこも巻きと言います。

和風の庭ではよく見られ
冬の風物詩になっています。

では、なぜマツの幹に
こも巻きをするのでしょうか?

今回はこのマツのこも巻きについて紹介します。

 

こも巻きをする理由

こもを巻かれているマツは
とても暖かそうに見えます。

樹木を一本一本大切にする日本文化を感じますが、
この施策は、マツの寒さを凌ぐために
藁を巻いているわけではありません。

実は、このこも巻きは、
マツに付く害虫を駆除するために行われているのです。

 

マツにはマツカレハという天敵がいます。

マツカレハはガの仲間で、
日本全土に分布しています。

このマツカレハの幼虫は
アカマツ、クロマツ等の葉を食べて成長しています。

この幼虫はたびたび大発生し、
マツの葉の食害が全体の90%を超えると、
マツの樹勢は衰えて、最悪の場合は枯死に至ります。

マツカレハの大量発生はマツ林に大打撃を与え、
マツの集団枯死に繋がる恐れもあります。

 

このマツカレハを防除するために
とられた施策がこも巻きです。

マツカレハは冬になると地上に降りてきて、
枯れ葉の中で越冬する習性があります。

マツの幹にこもを巻いておくと、
越冬のために下に降りてきたマツカレハが
こもの中で冬を越そうとします。

このマツカレハが冬眠しているこもを
春前に焼いてしまうことで、
マツカレハを防除することがこも巻きの目的です。

この方法は長い間支持され続け、
今日でもいろいろな場所で施策されているのを
見ることが出来ます。

 

こも巻きは逆効果

上記の説明だと画期的だと思われるこも巻きですが、
実はあまり効果がないという報告が出てきました。

こも巻きの効果を実際に調べたところ、
マツカレハは確かにこもの中に降りてきて越冬するのですが、
実は樹皮の割れ目で越冬している個体の方が多かったのです。

更に残念な結果も出てきました。

こも巻きの中で越冬している虫の半分以上が
マツカレハを食べてくれる肉食の虫、
つまり益虫だったのです。

つまり、こも巻きをすることでマツカレハは駆除できず、
マツカレハを退治している益虫を殺していました。

なんとも報われない結果です。

 

姫路城などではすでにこも巻きは
行われなくなりましたが、
今でもこの事実を知らずに
こも巻きをし続けている場所もあります。

また、この事実を知っていても
「文化だから」と言い、
こも巻きを続けているところもあります。

効果がないだけなら続けるのは良いですが、
益虫を殺すという逆効果が出ているのに
続けるという選択肢を取るところが日本らしいですね。
悲しい話です。

 

ということで、マツのこも巻きの解説でした。
私の考えは科学>文化なので
こも巻きを続ける意味は理解できませんでした。
それこそマツカレハの大量発生を助長している可能性もあるので
早くやめた方が良いと思うのですが…

 

ちなみにマツカレハの幼虫は有毒で、
人体に毛が刺さると激痛が走ります。
痛みはすぐに治まりますが、かゆみは1~2週間続きます。

駆除の際は気を付けてください。

 

ではまた。

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