「桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿」は本当か?

樹木

対象に適切な処置をしないことのことわざに
「桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿」というものがあります。

これはサクラの枝を切ることとウメの枝を切らないことは
愚かなことだという比喩表現です。

しかし、同じバラ科であり、
同じスモモ属に分類されるウメとサクラには
どれだけの違いがあるのでしょうか?
(近年ではサクラはサクラ属とすることが多いです。)

ということで、今回はサクラとウメの
剪定管理について解説します。

今回も樹木の不思議をお楽しみください。

 

サクラとウメの違いは?

サクラとウメの違いと言われると
何を想像するでしょうか?

 

花の咲く時期?
花の色?
サクランボとウメの実の違い?

 

これらの違いも確かに
サクラとウメの相違点です。

ただ、サクラとウメの違いは
他にもいろいろあります。

例えば花の付き方。

サクラは花と枝の間に柄が付きます。

サクランボを思い出していただくと
分かりやすいかもしれません。
サクランボには果実に長い柄が付いています。

しかし、ウメの花は枝に直接咲きます。
ウメの実を見ると、枝が当たっていたところが
押されて変色しているものがよくあります。

これらもサクラとウメの違いの一つです。

詳しくは今咲いているのはどっち?ウメとサクラの違い。の記事に
その他の違いも書いています。

 

では、「桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿」ということわざは
どういった違いから生まれたのでしょうか?

 

 

「桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿」の真実

結論から言うと、サクラとウメは
幹の腐りやすさが違います。

特にサクラの品種であるソメイヨシノは
幹に腐朽菌が入るとたちまち侵され、
中が空洞になってしまいます。

これがサクラの剪定が難しいとされ、
「桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿」ということわざが
この世にできた理由です。

では、サクラは剪定しない方が良いのでしょうか?
逆に、ウメはいくら切っても大丈夫なのでしょうか?

 

実は、どちらも間違いです。
一つずつ解説していきます。

 

まずはサクラの剪定ですが、
一番避けたいのは太い枝や幹の剪定です。

樹木の幹を切ると、中心は濃い茶色で、
樹皮に近いところは
明るいクリーム色をしていることが多いです。

この濃い色の部分を心材、
薄い色の部分を辺材といいます。

この心材の部分は
死んだ細胞が集まっている部分です。

死んだ細胞はもちろん侵入してきた菌に対して
抵抗することが出来ません。

その代わりにタンニン等の菌に対する抵抗物質を
死んだ細胞に蓄積させ、腐りにくくしています。

だから樹木の心材は色が濃いのです。

しかし、あくまでも細胞自体は生きていないので、
蓄積された抵抗物質で対処しきれない場合は
腐朽菌の侵攻を止められません。

何が言いたいかというと、
この心材が外に露出した途端、
樹木の腐朽菌感染率は跳ね上がります。

その中でもサクラは腐朽菌に弱いので、
太い枝を切った途端に感染してしまうのです。

これが「桜切る馬鹿」の所以です。

しかし、サクラは剪定しない方が良いかというと
そうではありません。

サクラも剪定をした方が元気を保てます。

サクラの剪定方法は、とにかく太い枝を切らないこと、
そして、細い枝のうちにしっかりと手入れし、
太い枝を切らなくて済むように管理してあげることです。

しっかり剪定してあげると樹木の風通しがよくなり、
腐朽菌や害虫の発生抑制につながります。

正しい知識と適切なタイミングで
しっかりサクラを管理してあげてください。

 

次にウメの管理方法です。

「梅切らぬ馬鹿」と言いますが、
ウメだから剪定し放題というわけではありません。

ウメの管理も基本的にはサクラと一緒です。

太い枝はなるべく切らないようにする。
細い枝を剪定し、風通しを良くする。

これに尽きます。

ただ、ウメの方がサクラに比べて
腐朽菌に強いというだけです。

ただ、サクラに比べて強いだけで、
ウメも決して菌に強いわけではありません。

梅園に行くと、幹が溝状に腐っているウメを
よく見かけます。

こういった症状は、やはり太い枝を落としたところから
腐り始めているのが分かります。

ウメだけに関わらず、
樹木は基本的に強剪定で大ダメージを受けます。

しっかりと毎年管理してあげることが大切です。

 

また、サクラ、ウメ共に、どうしても大きな枝を
切らなくてはいけない場合は、
市販の剪定痕の塗付剤をつけてあげてください。

ない場合は木工用ボンドでも代用できます。
1/3希釈位で塗ってあげると良いです。

しっかり菌から保護してあげることが
樹木の寿命を延ばしていきます。

 

 

ということでサクラとウメの剪定方法でした。

今回のポイントは、
とにかく心材形成の始まった枝は
切らないようにすべきだということです。

この剪定の方法は他の樹木でも基本的に一緒です。

人間で例えると、
細い枝を切るのは毛を抜く程度のダメージ、
太い枝を切るのは腕を切断されるダメージです。

このことを頭に置いて、細い枝の時期から
しっかり剪定管理してあげましょう。

 

ではまた。

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